ISM製造業PMI

▼発表スケジュール
原則毎月1営業日の10:00

ISM製造業PMIは製造業の購買担当供給者に対するサーベイ調査を基に作成される月次の製造業景況指数で、毎月最初に発表される景気先行指標として注目されている。現在では、ユーロ圏や英国、中国など40以上の国・地域において、ISM製造業PMIと共通の方法で製造業PMIが発表されている。

ISMは毎月18業種300社超の購買・供給担当者を対象としたサーベイ調査を実施している。回答者は生産、新規受注、雇用等の項目について前月比で「上昇/改善」、「変化なし」、「低下/悪化」のいずれかを選択する。ISM製造業PMIは新規受注、生産、雇用、入荷遅延、在庫のDIの加重平均で算出され、50が拡大・縮小の分岐点となる。

調査項目
・新規受注
・生産
・雇用
・入荷遅延
・在庫
・顧客在庫
・支払価格
・受注残
・新規輸出受注
・輸入

ISMはプレスリリースで、ヘッドラインおよび各項目について、「拡大/改善/上昇」および「縮小/悪化/低下」と回答した業種を列挙している。ヘッドラインについて、拡大(縮小)を報告した業種数を見ることで、製造業の景況感回復の裾野の広がりを確認できる。「回答企業のコメント」では、個別業種の定性的動向も確認できる。

▼市場の注目点
ISM製造業指数を見る上では、以下の点に注目したい。

1.ISM製造業PMIは製造業生産や実質GDP成長率との連関性が高い。ISMによると50を上回るISM製造業PMIは製造業生産の拡大、43.1を上回るISM製造業PMIは実質GDPの拡大を示唆する。
2.個別項目では、足元の生産活動の動向を反映する「生産」に加え、生産活動の先行指標となる「新規受注」や製造業部門の雇用者数変化との連動性が高い「雇用」が重要である。在庫循環をみる上では、「在庫」や「顧客在庫」の動向が注目される。「新規受注」-「在庫」のスプレッドは指数全体の先行指数として注目される。なお、支払価格については、プレス・リリースに価格が上昇/下落した商品のリストも掲載されているほか、供給が不足している商品も列挙される。
3.「入荷遅延」の上昇は本来なら供給が需要に追い付いていない状況(すなわち需要の強さ)を示す指標だが、悪天候や供給サイドのショックによって上昇することもある。2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けたサプライチェーンの混乱で「入荷遅延」がヘッドラインを大きく押し上げる局面が見られた。

毎年1月にISMは製造業およびサービス業PMIの季節調整ファクターの年次改定を行う。製造業PMIについては、ヘッドライン指数および新規受注、生産、雇用の季節調整ファクターの修正値が発表されている。

▼地域別サーベイとの比較
フィラデルフィア連銀指数、エンパイアステートメント製造業指数、シカゴPMI等の各地域の製造業サーベイについて、ISMサーベイ方式で加重平均した総合指数を算出することは、ISM製造業PMIの方向性を予想する上で有用。ただし、地域別のサーベイはしばしば逆の動きを示すことがあるため、地域別サーベイのレンジを示すことが重要。

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