▼発表スケジュール
中古住宅販売 翌月25日前後
中古住宅販売成約指数 翌月下旬
住宅売買の9割以上を占める中古住宅販売件数は、住宅市場の動向を見るうえで重要。中古住宅市場の動向を表す指標のうち、中古住宅販売成約指数は契約成立段階の統計であり、中古住宅販売戸数は受け渡し段階の統計である。中古住宅の販売者は、購入者と販売契約を締結すると、売買物件をMLS(Multiple Listing Service)に中古住宅販売契約として登録する。登録後の物件の8割は2か月以内に実際の受渡し(=中古住宅販売)が行われ、残りの大半は3カ月以内に受け渡される。このため、成約指数は先行指標として注目を浴びる。
▼指標の中身
中古住宅販売件数は、種類別および地域別の詳細が発表されている。種類別内訳では、一世帯住宅が全体の約9割、変動幅の大きい多世帯住宅が全体の1割程度である。地域別内訳では、南部が約4割、中西部および西部が2割強、北東部が約1割を占めている。
▼市場の注目点
1.中古住宅在庫の動向を判断する上では、在庫過剰感の指標となる在庫/販売比率が有用。
2.中古住宅価格(中央値)の家計所得に対する倍率は、金融危機後に住宅バブル前の長期平均まで割高感が解消したが、その後は再び上昇に転じている。
3.発表元は購入者内訳(初回購入者、投資家など)およびディストレス物件が中古住宅販売に占めていた割合も発表している。ディストレス物件と中古住宅販売価格の間には一定の逆相関もみられる。ただ銀行がディストレス物件の処分に熱心であるため、春から夏の学年末に伴う通常の住宅売買の増加時にはディストレス物件の販売割合が低下し、中古住宅価格は上昇しやすい。
4.構造的な住宅需要を予想する上では世帯形成が重要。金融危機後は景気悪化や信用基準引き締めで世帯形成を遅らせる傾向が住宅需要を押し下げたと考えられる。
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