価格決定力と産業構造

企業の価格決定力を測るうえでは頻繁に話題に出てくるマーケットシェア。
市場占有率と日本語では言うだろう。
しかし、マーケットシェア自体が重要というよりは競合と比較して、どのような立ち位置にいるかが重要になってくる。分析する上で頭に入れておくべきこととしては、主に①競合比での市場占有率、②製品の差別化、③固定費の大きさが例としてある。

競合比での市場占有率

市場占有率自体が重要でなく、競合と比べてどれだけ多くのシェアを持っているかが重要である。例えば、鉄鋼の生産シェア40%を持っているとしよう。仮に残りの競合企業が皆一桁台のシェアであれば、規模の経済を生かして高い価格競争力を持つこととなるが、30%のシェアを持つ競合がいればその強みは希薄である。このようにその業界の他の企業がどの程度のシェアを持っているかというところまで確認しなければ、シェアで価格決定力の強さを語ることができない。

製品の差別化

産業の企業が全て同じような製品、いわゆるコモディティ化した製品を生産していれば、企業は必然的に激しい価格競争にさらされることになる。一方で同じ産業の中でも企業が独自色の濃い製品を生産している場合は価格競争にさらされることはない。差別化された市場の例としては、特許が切れる前の医薬品市場などが挙げられる。消費者が〇〇が欲しいと感じたときに、カテゴリーが出てくるのか、具体的な商品名が出てくるのかが大きな違いになる。

固定費の大きさ

消費者目線から離れて企業目線で見てみると、価格を下げたいよくある動機に固定費の回収が挙げられる。工場建設など産業に参入する際に大きな費用がかかる場合は、資金繰りの関係上とにかく数量を売って現金を稼ぐ必要があり、この固定費を回収したいという各企業のモチベーションが価格競争を引き起こす誘因となる。

例:価格の差別化をしやすい産業、しにくい産業…

価格決定力のある産業の例としてはタバコ、アルコール、お菓子が挙げられ、価格戦略は企業が自由に決められる場合が多い。この背景には商品が嗜好品であり、買わなければならないというよりは特定の製品が欲しいといって購入しているファンが多いことが推測される。

価格を差別化しにくい産業の例としては、自動車、飛行機、石油精製などが挙がっている。差別化が行いにくい点と固定費の高さが背景にあると思われる。

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